令和4年も4月を終えようとしていますが、令和4年度税制改正大綱の中から、法人税の受取配当金の益金不算入に関する源泉所得税についてご紹介したいと思います。
発行済み株式の100%を保有する完全子会社株式等や、3分の1超を保有する関連会社株式等から配当金を受け取った場合、法人税法上100%が益金不算入となります。一方、配当金を支払う法人では、支払額の20.315%を源泉徴収し、納付する義務がありますが、今後は完全子会社株式等および関連会社株式等から配当を受ける場合(100%の益金不算入を受ける場合)に限り、源泉徴収を行う必要がなくなる、という事が大綱に記載されています。
適用時期は令和5年10月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用される予定です。
改正の背景として、完全子法人株式等に係る配当等の全額及び負債利子を控除した関連法人株式等に係る配当等の全額については、益金不算入となるにもかかわらず、これらの配当等について源泉徴収を行った場合、納税者側では配当等に係る源泉徴収により、一時的な資金負担と事務負担が生じる一方で、税務署側も還付金及び還付加算金を支払うことによる還付事務が生じることになっている点で、源泉徴収の制度趣旨に必ずしも沿ったものとはなっておらず、検討が行われてきました。実際、会計検査院の調査によれば、100%益金不算入の適用を受けた法人が、源泉徴収の所得税額控除を行った事による還付金総額は、平成31年度で4,500億円、それに対する還付加算金が1億4千万円と報告されています。それらの影響を考慮し、完全子会社株式等および関連会社株式等から支払いを受ける配当等については、所得税の源泉徴収義務が課されない事とされました。
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