消費税が10%になったことで、最近、従業員給与を外注化、つまり請負契約にしませんかというセミナーが増えてきているようです。
首都圏では、外食の人材不足が深刻で、人気の店舗でも時給1300円以上、交通費支給、きつい職場なら1500円でも集まらない、来たとしても総時間が制限される留学生が多いといわれています。
もっと、深刻なのは外食チェーンがそれなりにある地方、郊外の大通り沿いなどで根本的に人がいないといった現象もあります。
そのため、少しでもいい条件をと以前は社宅を準備するといったことが盛んに言われました。
住宅手当ではなく、社宅にすることで、会社、従業員ともに社会保険負担を減らし、かつ、従業員の税金負担も減らしながら手取りを増やす方法です。これは、交通費にも使われてきました。
ここまでは、ある意味、年々増え続ける税金や社会保険に対するいわば自己防衛ともいえる範疇で、給与所得控除が削られた役員報酬同様、社保も含めたタックスプランニングとも言えます。
ただ、冒頭にお話しした従業員給料の外注化が、注目を集める中、労働契約を請負契約に変えれば、会社は社会保険負担もなく、なお、消費税が控除できる、そして社員の手取りも増えてウィンウィンといった安易なうたい文句には注意が必要です。
外注で頻繁に出てくるのは一人親方と呼ばれる建築現場におけるものですが、これを外食業界で導入しよう、それも大々的にといった手法はかなりの部分、賭けになります。
賭けでも出来ないかというほど、追い込まれつつある状況が増えていることが歯がゆいことですが税務上では、外注か給与かは常に争われる問題で、形式上ではなく実質がどうなのかが問われます。否認されれば、従業員との契約自体をまた戻すなど、人材を集めよう、定着率をあげようとしたことが、逆に作用するかもしれません。
ご相談があれば、税理士法人優和にご連絡ください。