最近ではideco(個人型確定拠出年金)の言葉もすっかり定着してきました。銀行員から熱心に勧誘された経験がある方も多いかと思います。「税制上の優遇措置を使えます!」がお決まりのフレーズですね。
idecoは拠出時には所得控除になりますし、受取時は、年金方式で受け取る場合も、一時金として受け取る場合もそれぞれ雑所得の「公的年金控除」、退職所得の「退職所得控除」が差引できます。退職所得はそこからさらに2分の1をした額が所得となります。課税される所得が減りますので確かに税金の計算上有利です!
ですが、退職所得の計算をする所得はidecoだけではありません。会社の退職金や小規模企業共済の一時金受取なども同じ計算となります。受け取り時期によって税金の計算が変わってくる場合があります。
「退職所得控除額」は下記のように「勤続年数」により変わります。
勤続年数20年以下の場合 40万円×勤続年数(最低80万円)
勤続年数20年超 の場合 70万円×(勤続年数-20年)+800万円
※idecoや小規模企業共済では加入期間を勤続年数と考えます。
会社の退職金(勤続年数45年)とidecoの一時金(加入期間10年)を併せて同じ年に受け取ったとします。(idecoは勤務しながら加入)
この場合は、勤続年数を足して、そのうち「重複している期間」を差し引いて求めます。つまり勤務しながらidecoに加入していた期間は二重には考慮できません。
勤続年数は、45年+10年-10年=45年
ですので、退職所得控除額は2550万円。
つまり、収受した退職金とideco一時金から2550万円ひくことができます。
それでも税額が発生する方は、受取る時期を中4年(年金受取の場合は14年)ずらすことで「重複している期間」を有効に利用することができます。(所得税施工令70条)
退職金を受け取ったのち、5年後にidecoの一時金を受け取れば会社の退職金を受取時は、勤続年数は45年、退職所得控除額2550万円。5年後のideco受取時は、勤続年数は10年、退職所得控除額は400万円となり、退職金やideco一時金の額によっては有効に差引計算できることになります。
ただし退職金の額が多くなく、退職金と同時に受け取った方が有利な方公的年金受給額が少なく、年金で受け取った方が有利な方などさまざまです。
受け取り方法については、スケジュールを考えて計画的に行う必要がありそうです。受け取りの前には税理士法人優和にご相談ください。