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強化される超富裕層の重点管理

“超富裕層”に対する国税当局の包囲網が狭まっています。経済取引の国際化に伴い、富裕層や企業による海外への資産隠しや国際的租税回避行為は増加の一途を辿っているようです。

 

そこで、いわゆる富裕層PTと言われている「重点管理富裕層プロジェクトチーム」が7月10日から全国税局に設置されました。これまで、試行的に定めた通達に基づきPTが運用されていましたが、PTの全国展開に伴い試行通達を改め事務運営指針が発遣されました。全国税局がこれを基にPTを運用していくようです。

 

重点管理富裕層は、どのように選定するのでしょうか。今回発遣された事務運営指針では、各基準に関してより具体的な金額等の基準が記されているようですが、その詳細は不明です。管理部署は、毎年4月末日までに重点管理富裕層として指定する者(管理対象者)を選定するようで、既に各地で管理対象者の選定作業が進んでいる模様です。PTの人員は全国で230名前後となっており、少ない局でも10名、多い局は30名程度で構成されているとのことですので、その対象者もかなりの数になるのではないでしょうか?

 

一説による推測ですが、金融保有資産が1億円以上5億円未満の富裕層は推定114万世帯、5億円以上の超富裕層は推定7.3万世帯で、それらを合わせて約120万世帯強と言われています。

 

選定する基準としては、

形式基準:見込み保有資産が特に大きい者

実施基準:形式基準に該当しないが、一定規模以上の資産を保有し、かつ租税回避行為その他の問題が

想定される者

上記のいずれかに該当すれば対象者となります。

 

管理対象者の区分は次の3区分となり、A区分は調査の実施が前提で、B・C区分はいわば調査予備軍として資料情報の収集を図るイメージです。

 

A 課税上の問題が想定され、調査企画の着手が相当と認められる者

B 課税上の問題は顕在化していないものの、多額な保有資産の異動が見受けられるなど、継続的な注視が必要と認められる者

C A・Bのいずれにも該当しないが、重点管理富裕層として管理することが相当と認められる者

 

一度名簿に登載されると、削除されづらいようです。また、名簿から削除されたとしても、これまで収集した資料情報は今後関連個人・法人を管理する部署に引き継がれます。相続に至るまで管理対象者の資産状況等をウォッチする必要があるためといいます。

 

東京本部 渡辺

 

 

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