取引相場のない株式の評価において適用される財産評価通達が改正され、平成29年1月1日以降の相続又は遺贈もしくは贈与から適用されます。今回は、その中での類似業種比準方式の改正について触れたいと思います。
主な点は次の3つです。
1.「類似業種の株価(A)」に「課税時期の属する月以前2年間の平均株価」が加えられました。
2.類似業種の1株当たりの配当金額・利益金額・簿価純資産価額の計算方法が改正されました。
3.配当金額・利益金額・簿価純資産価額の割合が1:1:1に見直しされました。
1.について
改正前の「類似業種の株価(A)」は、課税時期の属する月以前3か月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いものとされていました。ただし、選択により類似業種の前年平均株価によることができました。改正により、課税時期の属する月以前3か月間の各月の類似業種の株価及び前年平均株価に「課税時期の属する月以前2年間の平均株価」を加えて、最も低い金額とすることとされました。これにより、基準となる業種目株価等がこれまでより低くなる可能性が高くなり、有利になることが考えられます。
2.について
類似業種の「1株当たりの配当金額(B)」「1株当たりの利益金額(C)」「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)(D)」については、連結財務諸表を作成している標本会社について、連結財務諸表を基に計算した金額によることとする改正が行われました。
「1株あたりの利益金額(C)」を計算するにあたっては、「法人税の課税所得金額(固定資産売却益、保険差益等の非経常的な利益の金額を除く)に、その所得の計算上益金に算入されなかった剰余金の配当(資本金等の額の減少によるものを除く)等の金額(所得税額に相当する金額を除く)及び損金に算入された繰越欠損金の控除額を加算した金額」とされていましたが、会計上の「税引前当期純利益の額」と読み替えて計算するとされます。
「1株あたりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)(D)」を計算するにあたっては、「資本金等の額及び法人税法第2条第18号に規定する利益積立金額に相当する金額(法人税申告書別表五(一)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」の差引翌期首現在利益積立金額の差引合計額)」とされていましたが、会計上の「純資産の部」と読み替えて計算するとされます。
3.について
改正前は、配当金額の割合を1、利益金額の割合を3、簿価純資産価額の割合を1として計算していましたが、改正により1:1:1の割合に見直されました。
埼玉本部 飯野