令和6年度の税制改正において、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の損金算入に制限がかかることとなりました。経営セーフティ共済とは、取引先が倒産した際の連鎖倒産等を防止する制度で、掛金総額の10倍(上限8,000万円)まで無利子・無担保で借入が可能となります。
拠出した掛金はその事業年度の損金(必要経費)として算入され、年払いによる一括前納も可能です。また契約を解除すると積み立てた掛金の全部又は一部が解約手当金として返戻され、その事業年度の益金(収入金額)として算入されます。これまでは契約解除後に再加入して拠出した掛金を損金として算入することが認められていましたが、欠損が見込まれる事業年度に契約を解除して欠損金と解約手当金の相殺を目的とする租税回避行為が一部で見受けられるなど、本来の制度趣旨と異なる利用がありました。そのため今回の改正において、令和6年10月1日以後に契約を解除した場合はその日から2年が経過する日までに再加入して掛金を拠出しても、損金として算入することが認められなくなりました。
損金として算入もできることから、節税しつつ連鎖倒産を防止するために積み立てを行っている事業者も多いですが、令和6年10月1日以後に解約すると2年間は再加入して掛金を拠出しても損金として認められませんので、ご注意ください。なお、令和6年9月30日までに契約を解除したものについては、2年間の制限はかかりません。