「情報化社会」と言われて久しいですが、平成28年1月の第5期科学技術基本計画では、次世代の未来社会として、Society 5.0が提唱されました。狩猟(Society 1.0)、農耕(Society 2.0)、工業(Society 3.0)、情報(Society 4.0)に続く、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義されています。
2020年度の税制改正では、Society5.0を意識したものも盛り込まれおり、ここで触れてみたいと思います。
(1)経済成長の基盤となるイノベーションを持続的・自律的に生み出すため、企業が保有する内部資金や技術の有効活用の観点から、企業の前向きな行動を後押ししています。具体的には、企業の事業革新につながるオープンイノベーションを促進するため、事業会社が次世代のイノベーションの担い手であるベンチャー企業に対して1,000万円以上(大企業は1億円以上)出資をする場合、出資金額の25%相当額の所得控除ができる措置を創設しました。
純投資目的ではないため、出資後は企業から提出を受けた資料を経済産業省が確認し、出資した年・特定期間(5年間)中の証明が必要となります。事業会社が出資先企業に対して行う協力が、ベンチャー企業の成長に資することや、出資先企業となるベンチャー企業の有する技術・ビジネスモデルなどが事業会社にとって不足する経営資源であって、新規の事業開拓・生産性の向上に資するものであること、などが必要です。
投資対象となるベンチャー企業は、新規に設立された企業は除かれ、設立10年未満の未上場スタートアップ企業であって、大規模グループに属していないなど限定されますが、株式投資の時点で投資金額の25%を損金に計上できる点は節税上、大きなメリットといえます。
(2)5 G(第 5 世代移動通信システム)は、2時間の動画をわずか数秒でダウンロードできる大容量・超高速通信によって、通信機器の同時接続を通じた生産性の向上など、Society 5.0の実現に不可欠なインフラとして注目されています。5 G情報通信インフラの早期の導入を促進するため、地域の企業等が自ら 5 Gシステムを構築するローカル 5 Gへの投資に対し、15%の税額控除又は30%の特別償却ができる措置を創設しました。
税額控除15%は、従来の設備投資の促進減税と比べても高い控除率となっており、事前の導入計画と、担当大臣への提出と認定が必要となります。
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