平成28年度の税制改正で、消費税の納税義務の判定がまた厳しくなります。
今回の改正は、平成28年4月1日以後に高額特定資産の課税仕入れ等を行った
事業者が一定の要件を満たした場合、3年間の課税事業者の強制及び簡易課税
制度も3年間適用できません。
一定の要件とは次のとおりです。
(1)高額特定資産を取得した事業年度において課税事業者に該当していること
(2)上記期間において原則計算を適用していること
この2点で、3年間は課税事業者・原則計算確定です。
なお、ここでの3年間には高額特定資産を取得した年度も含むので、実質的には
翌2年間は課税事業者及び原則計算の強制適用という解釈になります。
また、高額特定資産とは、一取引単位が税抜1千万円以上の棚卸資産、調整対象
固定資産及び自己建設高額特定資産をさします。
棚卸資産という観点では、特に不動産業、建設業に影響が大きそうですが、調整
対象固定資産という観点では、業種は特に問わないと思います。
これまでは、「課税事業者を選択した当初2年間」と「新設法人の納税義務の
免除の特例」及び「特定新規設立法人の納税義務の免除の特例」により課税事業
者となった課税期間中に調整対象固定資産(税抜100万円以上)のものを取得した
場合、今回と同じような課税事業者の強制及び簡易課税制度が適用できない規定
がありました。
ところが今回の改正で、これまで例えば初年度に多額の「棚卸資産」の課税
仕入れを行い、かつ、原則計算を行うことで消費税の還付を受け、翌年度から
は簡易課税制度を適用し、二重控除を受けるというスキームが崩壊します。
さらに気を付けるべきは、この高額特定資産の規定は上記のような限られた期間
だけでなくすべての課税期間において適用されるため、単純に基準期間や特定期間
(前々年や前年)の課税売上高だけの納税義務判定では対応できません。
最近、税法の中でも消費税の改正は活発化しておりますので、お気を付け下さい。
消費税のことでご心配ごとがありました、お気軽に当社までご相談下さい。