スタッフブログ

譲渡所得~破産等により株式の価値が失われた時の特例~

【上場株式の譲渡について】

個人の方が株式等を譲渡した場合は、他の所得と区分して税金を計算する「申告分離課税」となります。

 

上場株式等の譲渡益に対する課税については、証券会社などの金融商品取引業者が年間の譲渡損益を計算する「特定口座制度」が設けられており、この特定口座での取引については、源泉徴収口座か簡易申告口座を選択することができます。源泉徴収口座を選択した場合、その口座内における年間取引の譲渡損益や配当等については、証券会社が納税をするため、原則として、確定申告をする必要はありません。ただし、他の口座での譲渡損益と相殺する場合、配当所得と損益通算する場合などには、確定申告をする必要があります。

なお、非課税口座を開設する年の1月1日現在で20歳以上の方を対象として、平成26年から平成35年までの間に、年間100万円を上限として非課税口座で取得した上場株式等の配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が最長5年間非課税となる少額投資非課税制度(NISA) も設けられています。

 

 

【破産等により株式の価値が失われたときの特例】

株式の発行会社の破産等により個人が所有する株式の価値が失われたとしても、それによる損失は原則として他の株式等の譲渡益や給与所得など他の所得の金額から控除することはできません。

 

しかし、特定口座に保管されていた内国法人の上場株式が、上場廃止となった日以後、特定管理株式または特定保有株式に該当していた場合で、その株式を発行した株式会社に一定の事実が生じた時は、その株式の譲渡があったものとして、その株式の取得価額を譲渡損失の金額とみなすこととなります。この特例により譲渡損失とみなされた金額は、その年の他の株式等の譲渡益から控除できます。

 

なお、その譲渡損失とみなされた金額が他の株式等の譲渡益から控除しきれなかったとしても、その金額を翌年以降に繰り越すことはできません。

 

 

【譲渡があったとされる一定の事実】

1.清算が結了したこと。

2.破産手続きの開始の決定を受けたこと。

3.会社更生計画または民事再生計画に基づき発行済株式の全部を無償で消滅させたこと。

4.特別危機管理開始決定を受けたこと。

 

上記の事実が生じた場合には、特例の適用を受けることとなります。

 

 

【特例の適用を受けるための手続】

この特例の適用を受けるためには、上記の一定の事実が生じた年分の確定申告書に、適用を受ける旨を記載するとともに、以下の書類を添付します。

 

1.証券会社などから交付を受けた一定の事実などを確認した旨を証する書類

2.特例の対象となる価値を喪失した株式とそれ以外の株式等とを区分して記載された株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書

 

アーカイブ

CONTACT

「ホームページを見た」と言っていただくと、
スムーズに対応させていただきます。