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富裕層に迫る国税庁包囲網

租税回避行為に関する一連の機密文書であるパナマ文書が話題になっていましたが、公平・公正な社会の実現に向けて様々な方策が取られてきています。近年、そして今後の課税当局の動きを見てみますと、富裕層への監視がますます強化されている感じがします。

課税当局がどのようにして富裕層への監視・課税強化案を予定しているのかについてまとめてみました。

 

 平成27年:国外財産調書提出義務

 平成28年:社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)

 平成28年:財産債務調書

 平成29年:修正申告に対する加算税を強化

 平成29年:タックスヘイブン対策税制

 平成30年:各国の税務当局間の情報交換の強化

 平成30年:生命保険支払調書の対象拡大

 

ここではいくつかの制度について見てみます。

 

1.国外財産調書提出義務

 居住者(「非永住者」の方を除きます。)の方で、その年末において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する場合には、その国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した調書をその年の翌年の3月15日までに所轄税務署長に提出しなければなりません。

 

2.財産債務調書

 年末の段階で年間所得2,000万円を超え、かつ資産3億円以上(もしくは金融資産1億円以上)を所有する人は、翌年3月15日までに財産債務調書を提出しなければなりません。調書の作成には相当の時間がかかり、相続税申告の予行練習をしているような感じさえします。課税庁としては、この書類を提出させることで富裕層の財産動向を確実に把握し、適切な課税を行うことを目的にしていると考えられます。

 

3.修正申告に対する加算税を強化

 現行規定の不備を利用して加算税を回避するために、税務調査の事前通知直後の修正申告や期限後申告をする納税者も多く見られるようになったため、平成29年以降は税務調査の対象前であっても5%の加算税の対象となります。無申告加算税の場合は、5%から10%になります。

 

4.タックスヘイブン対策税制

 財務省は今年末の平成29年度税制改正で、企業や個人が海外に移した所得に対して日本から課税する「タックスヘイブン対策税制」という仕組みを厳しくする方針のようです。

 新たなタックスヘイブン税制では、法人税率20%以上の国に置く子会社でも配当や利子、知的財産といった所得は原則、日本の所得とみなして課税されます。適用対象国が現在の「20%未満」から20%以上に広がれば、対応は煩雑になります。

 

東京本部 渡辺

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