一般社団法人を活用した相続税の租税回避スキーム防止という大胆な税制改正大綱ですが、小規模宅地の特例を活用した相続税の節税スキームも「租税回避」となるようです。
小規模宅地の特例とは、相続により取得した土地のうち、一定の要件を満たすものについては、相続税の資産評価を行う際に評価額を減額してもらえる特例です。
その評価区分には、「居住用」「貸付事業用宅地等」などがありますが、これまで「貸付事業用宅地等」の特例を活用した次のような節税スキームが横行しておりました。
その節税スキームとは、買い手がすぐ見つかるような流動性の高い土地を購入し、現金を一時的に不動産に転換します。そして相続が開始したらその現金が土地に変わっているため、貸付事業用宅地等に該当すれば一定の評価減を受けることができ、結果、現金をそのまま持っているよりも相続税が少なくなります。
そして、相続税の申告も無事終わり、ほとぼりが冷めた頃に、その土地を売却し、現金に戻すというスキームです。
土地の購入、売却には一定の諸費用が発生しますが、相続税率の高い方であれば十分に節税メリットのあるスキームであり、相続対策の一般ツールとして活用されてきました。
平成30年度税制改正大綱では、このような行為を租税回避と判断し、相続開始前3年以内に貸付けを開始した不動産の敷地をこの「貸付事業用宅地等」から除外することを盛り込んでおります。
しかし、さすがにこれまで普通に実行されていた節税スキームのためか、経過措置として、平成30年3月までの本節税スキーム分は従来どおりの評価減を受けることができる経過措置が適用される予定です。
また、オーナーチェンジ案件も今回の規制対象になるようです。
オーナーチェンジ案件とは、もともと第三者が所有していた貸付事業用宅地等に該当する土地を取得した場合に、その第三者が所有していた期間の貸付期間は引き継げないというものです。
これも明らかに節税スキーム対策です。
以上の点から、今年の3月までの相続対策としての不動産取得の駆け込み需要が増加する見込みです。
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